05.麗









彼の髪の毛は、真っ直ぐで、さらさらで、艶があって、美しい。
容姿も端麗だから、彼は俗に言う綺麗な人。
それに引き換え自分は傷だらけで、髪も綺麗なんかじゃないし、お世辞にも美しいなんて言われない。
他人には、彼と自分では不釣合いに思われそうだ。







「長次。こんなところで何をしている?」
そんなことを考えながら長屋の縁側でぼーっと座っていると、彼が話しかけてきた。
「お前もあちらで小平太たちとバレーをやらないのか?」
そう言われて前をちゃんと見ると、小平太と文次郎と食満がバレーをしている。
伊作はそれを笑いながら見ている。
「……仙蔵は…?」
目の前の彼に問いかけた。
「私も先ほどまでやっていたぞ。まったく、小平太ときたら加減というものを知らないのだから…」
彼はぶつぶつと不満を述べた。
「仙ちゃーん!ちょーじー!バレーやろーよー!!」
噂をすれば何とやら。小平太が手をぶんぶん振りながら我々を呼んでいる。
「もう、人の気も知らないで…。長次どうする?やるか?」
彼のその端正な顔が青空と重なって映えた。
「…ああ」
言って、立ち上がった。







「あー楽しかった!明日もやろーね!」
「てめぇ何でもかんでもアタックすればいいってもんじゃねぇぞ!」
「お、地獄の会計委員長が何を怖がってるんだ?忍者の世界では予測不可能なのが当たり前だろう?」
「んだとこのヘタレ用具委員長…!」
「あーもうそんなにうるさくしてたら他の人に迷惑でしょ!」
「いさっくんお母さんみたーい!」
最高学年とは思われないような子供っぽい会話をしながら井戸で汗を流していた。
「長次」
仙蔵が一人会話から抜けて話しかけてきた。
「悪いが、私の髪結いなおしてくれないか?バレーやったらほどけそうになってな」
「…ああ」
彼の美しい髪に指を通した。
さらさらと指の間をすり抜ける髪。
まっすぐな様は、彼の生き様のようだ。
結い上げると、すとん、と下に向かって滑り落ちる。
こんな美しいものに触れていられるなんて、自分はなんて幸せ者なのだろう。
綺麗すぎて。
その髪の毛に、そっと口で触れてみた。
「…!長次っ!?///」
「…すまない。…あまりにも、綺麗だったから…」
そう言うと、一瞬彼は驚いた表情をしたが、すぐに微笑んだ。
「ありがとう、長次。私はお前といられて幸せだな」
先ほど自分が思っていたようなセリフを言われて、ちょっとどきっとした。







「仙ちゃんたちらぶらぶだねー」
「俺たちがいること忘れてんじゃね?」
「いや、あの二人は誰がいてもあんな調子だろう
「仙蔵があんなに優しいの、長次にだけだもんね」
「聞こえてるぞお前たち!伊作、優しいのは長次だけって失礼だな!」
「うわっやばい!仙ちゃんがキレた!!」
「逃げるぞ!!」
「こら待てー!!」
…また走り回って。せっかく結ったのに。
まあ、ほどけばまた結うだけだ。
あの、麗しい君の髪を。





END.







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長仙大好きです。
でも長次視点で長仙書くとなんだかえっちくなりますね!(←