09.夢
「ねえもんじ、君はどこか行きたい所はあるかい?」
「あ?」
「行きたい所だよ。旅でも散歩でも。どこかないの?」
「…んなこと急に言われてもなあ…。思いつかねぇよ。」
「じゃあずっとここにいたっていいの?」
「いいんだよ。俺の夢は学園長になることなんだから。」
「あ、そっか。」
「僕はどこかに行きたいなあ。」
「お前そんな話前にもしただろう。」
「覚えてたの?珍しいこともあるもんだ。」
「何だソレ。俺がお前の話をいつも全く聞いてないかのような言い草だな。」
「あれ?違ったの?」
「お前なあ…。」
「まあそれは置いといて。どこかにいい所ないかなあ。」
「お前はそんなにどこかに行きたいのか?」
「んー別にどっちでもいいんだけど、行けるなら行きたい!みたいな感じかな。」
「よく分からん。」
「本当にどこでもいいんだ。僕が見たことない場所。できれば、空気が澄んでて水も綺麗な。」
「どこでもよくねぇじゃねぇか。」
「まあ、できればの話だし。それで、毎日平和で、薬草とか摘みに行って。」
「忍びを志す者が言うセリフじゃねぇな。」
「もんじと一緒にしないでよ。で、夕方になったら家に入って、ご飯作って食べて、虫の鳴き声と一緒に寝て。」
「うるさそうだなあ。」
「そうでもないかもよ。」
「お前は将来そんな風に暮らしたいのか?」
「いや別に。」
「じゃあ今まで散々語ってたのは何なんだよ。」
「あれはまあ、叶わなくてもいい夢。」
「じゃあ叶えたいものは他にあんのか?」
「あるけど…叶わないかもしれないことが発覚したからねぇ。」
「何でだ。」
「お前のせいだよバカもんじ。」
「何でだよ!」
「…僕はどこかに行きたい。平和に暮らしたい。でもね…。」
「何だよ。」
「傍にもんじがいて一緒に暮らしていられたらそれでいいんだよ。」
「………。」
「ちょっと、黙らないでくれる?」
「…あー…いや……伊作…。」
「何だい?」
「だったら叶わなくてもいい夢を捨てて俺の傍にいろよ。」
「…それも、いいね。」
END.
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本命は文伊ですw