繋がれ







※軽いヤンデレなマツバさんです。けど痛くは無いです。









マツバの家の中、その居間には明かりがついていない。
もうすっかり夜なのに明かりはついておらず、在る光は月光とテーブルに置かれた小さなランプの光のみだ。
俺、暗いのあんまり得意じゃないんだけれど。怖いんじゃない。目が見えづらいのが嫌なだけ。
でもマツバは暗い方が好きだってことを、俺は知っている。
だから俺は文句を言わず暗い中にいる。お前が暗いのが好きならそれでいいよ。
俺はこの暗がりの中、目の前にいるマツバをじっと見ている。
顔はぼんやりとしか見えないけれど、目はよく見える。あいつの目は紫色に輝くから。
不意にマツバが俺の首に手を添えた。こいつの手はいつも冷たい。
「ハヤトくん」
マツバが小さな声で呟いて、そのまま俺の首に添えていた手を離した。
じゃらじゃらという音が暗い室内に響いた。
音のした方、つまりマツバの手元を見ると長い鎖付きの首輪があった。
暗い中で金属の留め具がランプの光を受けてきらめく。
どこから取り出したんだそんなもの。隠し持ってたのか?
どっちにしろこいつが考えていることなんてとうに分かっている。
「ハヤトくん、これ、ね」
柔らかく笑って、柔らかい声でマツバは言う。何が、ね、なのかは分からない。
マツバは俺の反応は全く視野に入れないまま、首輪の留め具を外してそれを俺の首に持ってくる。
一回首の後ろに通して、そして前でもう一度留め具で留める。
「きつくない?」
「大丈夫」
俺は自分の首に首輪が巻かれるのをじっと見ていた。
「できた。ねえ、これ、青色なんだよ。君の色」
マツバは俺の首に巻かれた首輪を優しく撫でながら言った。
そうか青いのかこれ。暗いと分からないじゃないか。
首輪の留め具からは長い鎖が伸びていて、それはマツバの右手中指にはめられた指輪に繋がっている。
「これ、いいでしょう?セットなんだ、鎖付きの指輪と。わざわざ鎖持たなくていいから楽だよね」
そう言ってマツバは指輪と首輪とを繋ぐ鎖を揺らしてじゃらじゃらと鳴らした。
「これで君はどこにも行けないね」
さも嬉しそうに笑いながらマツバが言う。
俺はそんな彼を愛おしく思い、見つめる。
どこにも行かねえよ。なんて言わなくたってどうせ分かっているんだろうお前は。
首輪なんか俺に付けて、わざわざ俺の気持ちを確かめなくたって分かっているんだろう?
俺が嫌がらないって分かっていなきゃこんな凝った首輪なんて買わないだろうが。
俺が付けると分かっていないと買う気もしないだろう。
こいつそもそも物を買うこと自体好きじゃないし。何か利益がないと買わないし。
不意にマツバが俺の首に巻かれた首輪に指を突っ込んで、そのまま上に持ち上げた。
俺の顔も当然上の方に引かれて、そうしたらマツバの顔が近くにあって、唇を塞がれた。
いつの間にかマツバの腕は俺を抱きしめていた。
そのまましばらくキスが続いて、解放された頃には息が上がってしまっていた。
「やっぱりいいね、これ。好きなときに君に口づけられる」
そう言うマツバの声には子供のような無邪気ささえ含まれていた。
お前はいつだって自分の好きな時にキスしてくるくせにね。いいけどさ。
マツバは俺を抱きしめながら、小さい声で言った。
「本当にこれでハヤトくんがどこにも行かないね。ずっと僕のものだ。ずっとずっと」
「俺がどこへ行くと思ってんの?」
「空。あと、君のお父さんのとこ」
それを言うとき、マツバの俺を抱く腕の力が強まった。
「でも俺はマツバがすきだ。だから離れない」
俺もマツバの背に腕を回して、なだめるように撫でた。
「僕もすき。ハヤトくんがすき。だから、これ付けてずっとそばに置いておきたいの」
「付けたままでもいいよ俺は。2人きりのときは」
たいがい、俺もマツバには甘い。惚れた弱みじゃない。すきなんだから当たり前だろ。
「ずっとは?」
「だめ。みんなに見られるだろ?見られたいのか?」
「嫌だ、見せたくない。こんなハヤトくんは僕だけが知っていればいいんだから」
「じゃあ2人きりのときだけでいいだろ?」
「うん、それがいい。誰も見てないとこで、ね」
マツバは俺から体を離して嬉しそうに笑った。
そのときに鎖がまたじゃらじゃらと鳴った。
「これ、いいでしょう?」
首輪を指でいじりながらマツバが言った。
俺はそれを少し見つめてから、マツバの顔を見て言った。
「うん。ありがとう」
だって俺だってお前とずっと繋がっていたい。





END.







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マツハヤ短文。暗い中だけどやってることはラブい。
ハヤトさんだってマツバにべた惚れなんだってこととマツバは微ヤンデレってことを伝えたかった!
けどヤンでも痛いことはしない。傷つけたくはない、みたいな。
マツバはハヤトの言うことはちゃんと聞きます。
結局ラブラブなんだこいつら(笑)